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お勉強BLOG Ⅱ

42.介護老人保健施設

◆介護老人保健施設とは
・介護老人保健施設とは、看護、医学的管理下における介護、機能訓練、その他必要な医療および日常生活上の世話をする施設である。
・介護老人保健施設の入所対象者は、病状が安定期にあり、医学的管理下での看護や介護を必要とする要介護者に限られる。

◆介護老人保健施設の目的と役割
・介護老人保健施設は、明るく家庭的な雰囲気のもとで、高齢者の自立を支援して家庭への復帰を目指すことを目的とし、地域や家庭との結びつきを重視した運営を行う。
・介護老人保健施設は、行政や病院、各福祉施設と連携した地域のケアシステム構築の役割を担うことが求められている。

◆介護老人保健施設と介護支援サービス
・施設の介護支援専門員が、介護にかかわる専門職の専門知識を生かした施設サービス計画を作成する。
・介護老人保健施設は、本来、家庭への復帰を目的にした短期入所施設である。

◆介護老人保健施設のサービス内容
・介護老人保健施設における医療サービスは、疾患や老化に伴った心身の障害やADLの低下を抑制し、その維持・向上を図り、利用者の自立をサポートすることを中心としたものである。
・介護老人保健施設におけるリハビリテーションは、利用者の自立と家庭復帰を目的とするもので、こうしたリハビリテーションの考え方を、医学的リハビリテーションに対し生活リハビリテーションや社会リハビリテーションと呼ぶ。
・介護老人保健施設は、利用者にとっての生活の場であり、家庭復帰を目指す場でもある。利用者各人の生活行動や性格を把握し、生活支援を行いながら、利用者が納得できるようなケアサービスを行うことを心がける。

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41.老人性痴呆疾患療養病棟

◆老人性痴呆疾患療養病棟の利用者
・老人性痴呆の疾患に伴う精神症状(随伴精神症状)としては、主にせん妄、睡眠障害、妄想、幻覚、興奮、感情失禁・不安・抑うつ・心気状態などがある。
・老人性痴呆の主な問題行動としては、夜中に家族を起こす、外出して道に迷うなどのほか、徘徊、大声を上げる、火の不始末、弄便などの不潔行為、攻撃的な行動、異食がある。

◆老人性痴呆疾患療養病棟の目的と介護支援サービス
・老人性痴呆疾患療養病棟の目標は、治療や介護によって症状を消失・軽減させ自宅やほかの施設での生活や介護ができるようにすることである。

◆老人性痴呆疾患療養病棟のサービス内容
・痴呆性高齢者に対する治療・介護ではスタッフの対応に留意する。相手の人格を尊重し受容的な態度で接する。対応や環境を変えることで症状がよくなる場合も少なくない。
・痴呆性高齢者の問題行動や精神症状(随伴精神症状)が激しく行動を制限せざるを得ないときは、精神科病院の精神病室において精神保健指定医によって行われなければならない。

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40.指定介護療養型医療施設

◆指定介護療養型医療施設とは
・介護保険の給付を受けるには、病棟ごとに申請をして都道府県知事の指定を受ける必要がある。
・療養病床は長期的療養を必要とする患者を対象とし、そのための人的・物的に適切な療養環境を有する一連の病床である。
・老人性痴呆疾患療養病棟は精神症状および行動異常が目立つ、寝たきりでない痴呆性高齢者を対象にした施設である。
・介護強化病棟は主として慢性疾患の老人患者を対象とし、介護職員を重点的に配置している老人病院。

◆指定介護療養型医療施設の目的と役割
・指定介護療養型医療施設の最大の目的は、要介護者等に長期療養ケアを提供することで、要介護者のQOLの維持・向上を目指すものである。
・指定介護療養型医療施設には、個々の状態に適応したサービスと、療養にふさわしい環境の提供が求められる。

◆指定介護療養型医療施設と介護支援サービス
・実際のケアは入院初日から始まる。入院前と入院当日に得た情報をチームで検討し、どのようなケアを実施するのか書式にしておく。
・施設で長期療養するかどうかを判断する場合にもっとも優先されるのは本人の意思である。

◆指定介護療養型医療施設の利用者
・指定介護療養型医療施設の利用者は急性疾患の回復期にあるか、慢性疾患を患っている場合が多い。

◆指定介護療養型医療施設のサービスの内容
・指定介護療養型医療施設のターミナルケアでは苦痛の除去が中心となり、できるだけ自宅に近い環境で最期を迎えられるようにくふうする必要がある。

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39.短期入所療養介護

◆短期入所療養介護とは
・在宅の要介護者等に介護老人保健施設や指定介護療養型医療施設などに短期間入所してもらい、看護、医学的管理下における介護や機能訓練などの必要な医療、日常生活上の世話をする。

◆短期入所療養介護の意義・目的
・短期入所療養介護では、家族の疾病、冠婚葬祭など介護者の社会的・私的なケースにも対応し、介護者にレスパイト・ケア(休養)を与える効果もある。

◆短期入所療養介護と介護支援サービス
・在宅のサービスであるため、常に自宅に戻ったあとのことを意識し、居宅サービス計画と短期入所療養介護計画との連携を持たせる必要がある。
・利用者が入所中に急変する場合もあるので、医療機関との連携は重要。
・本人の希望により、ターミナルケアに短期入所療養介護を取り入れる場合もある。介護支援専門員はその際の介護体制について熟知しておく。

◆短期入所療養介護の利用者
・短期入所療養介護のたいしょうとしては、利用者が
 1.特別な医学的処置の必要な場合
 2.改善の必要な医療上の課題がある場合、
 3.定期的な検査や状況把握が必要な場合
 4.集中的なリハビリテーションが必要な場合
 5.痴呆症状の把握や改善の必要な場合 などが想定される。

◆短期入所療養介護の内容・役割
・利用期間が相当期間になるときは、医師の診療の方針に基づき、また、すでに居宅サービス計画が作成されている場合はその内容に沿って短期入所療養介護計画を作成する。
・入浴または清拭、排泄の介助、離床、着替え、整容、食事など必要な介護やレクリエーション的行事も行う。
・リハビリテーションを行う際に、日常生活において利用者の師匠になっていることや、介護の負担状況などについて、介護支援専門員から報告を受けるなどして十分に把握する。
・痴呆の高齢者の問題行動が目立つ場合、老人性痴呆疾患療養病棟などへの緊急避難的な利用も考えられる。

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38.訪問リハビリテーション

◆通所リハビリテーションとは
・通所リハビリテーションでは、要介護者が介護老人保健施設や病院・診療所に通い、集団の中でリハビリテーションを受ける。

◆通所リハビリテーションの目的
・身体的な効果だけでなく、閉じこもりの防止、社会関係能力の改善・維持、介護者の負担の軽減などの効果も望むことができる。

◆通所リハビリテーションと介護支援サービス
・さまざまな職種が連携し、在宅生活のニーズに対応したチームアプローチをすることによって、その効果が上がる。
・目標別のアプローチをして、在宅生活と連携させる。
・健康管理……利用者の帰宅後の状態を知り、反映させる。
・ADL……家庭内で環境整備をし、通所リハビリテーションでは歩行能力を改善するといった具体的連携が重要。
・IADL……作業療法士が中心となって調理訓練などを行い、在宅での家事援助に生かす。

◆通所リハビリテーションの利用者
・通所リハビリテーションでは、急性期リハビリテーションを終え、維持期にある人が対象となる。リハビリテーションによるリスクについて十分に医師の助言・指導を得て行う。

◆通所リハビリテーションの内容
・通所リハビリテーションの内容には、個々の障害に応じて訓練する個別訓練、集団での心身の機能維持や改善を図る集団訓練、心理的活動性の向上を図るためのレクリエーション・趣味活動、ケアする中でリハビリテーションの考え方や方法を利用するケア・リハビリテーションがあり、社会関係能力の向上など集団行動による効果を目標においた点が特徴的である。

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37.訪問リハビリテーション

◆地域リハビリテーションの理念と介護支援サービス
・地域リハビリテーションとは、医療・保健・福祉または生活にかかわるすべての関係者がリハビリテーションの立場から行う支援活動であり、高齢者や障害者のADLの自立、社会参加、QOLの向上、また寝たきりや閉じこもりを防止し、ノーマライゼーションや人間的な復権を目指す。

◆訪問リハビリテーションとは
・対象者は、病状が安定期にあり、医学的管理下でのリハビリテーションが必要と主治医が認めた要介護者等である。

◆訪問リハビリテーションと介護支援サービス
・介護支援専門員は、自立の可能性や維持という視点に基づく課題分析を行う。

◆訪問リハビリテーションの利用者
・主な利用者は、急性期リハビリテーションを過ぎ、維持期のリハビリテーションを必要とする高齢者・障害者が中心。維持期にある人の体力、身体機能、行動意欲、機能訓練などの直接的なサービスのほかに、介護者や介護にかかわる担当者への助言・指導も行う。

◆訪問リハビリテーションの内容
・理学療法士・作業療法士は、意思の診断に基づいて作成した訪問リハビリテーション計画に沿ってサービスを提供する。機能訓練などの直接的なサービスのほかに、介護者や介護にかかわる担当者への助言・指導も行う。

◆訪問リハビリテーションの考え方
・訪問リハビリテーションは、要介護度に応じ目標を定め、
 1、予防的リハビリテーション
 2、自立支援型リハビリテーション
 3、介護負担軽減リハビリテーション    の3つのアプローチで行う。
・訪問リハビリテーションで基本となるのは、生活のリズムや生活の広がりを作ると言う日常生活全般へのアプローチである。

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36.訪問看護②

◆訪問看護の内容
・訪問看護を行うにあたっては、主治医との連携、訪問看護計画書・訪問看護報告書を作成し訪問看護計画に沿ってサービスを提供すること、緊急時に対応できることが必要である。
・訪問看護サービスの基本は、主治医の支持により、要介護者等の療養上の世話や必要な診療の補助を行うことであり、同居家族に対して訪問看護を行ってはならない。
・療養上の世話とは、日常生活の世話のうち、嚥下障害の人に対する食事の介助や、慢性便秘などの人に対する排泄時の介助、病状が変化しやすい人の入浴の介助や清拭などを言う。
・訪問看護師は、医師の指示に基づき、医療器具を装着している患者の管理、医療処置の方法の指導、褥瘡や傷の処置、バイタルサインのチェックなど身体の状態の把握、検査補助を行う。
・また、リハビリテーションによって残存能力を活用させたり、要介護者等や家族に対する精神的支援も行う。

◆訪問看護の視点
・脳血管障害の後遺症や寝たきりの高齢者の場合……寝たきりの予防と寝たきりからの脱却、療養・介護のための環境整備、日常生活動作を高めるためのリハビリテーションにつなげ残存機能を活用する、障害を受け入れるための精神的支援。
・認知症高齢者の場合……日常的な観察と医療的な対応、要介護者等への受容的態度、家族など介護者への支援。認知症高齢者の自尊心を大切にし、おかれている環境や言動の背景などへの理解が必要。
・難病患者の場合……適切な医療とケアの保障、適切なケアと家族など介護者の指導・支援、QOLの尊重。
・ターミナル期にある患者の場合……疼痛などの症状の緩和、コミュニケーションを通して精神面への支援、家族など介護者への支援、死への準備教育、死後における家族へのケア。

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35.訪問介護①

◆訪問看護とは
・訪問看護とは、看護師などが要介護者等の自宅を訪問して、医師の指示のもとに、療養上のケアや診療の補助を行うサービスである。対象者は、病状が安定期にあり、訪問看護が必要であると主治医が認めた要介護者等である。

◆訪問看護と介護支援サービス
・要介護者等に身体上何らかの変化が起きた場合、それが居宅サービス計画の変更につながることがある。介護支援専門員は、常に専門職との緊密な連携および調整を行う。

◆訪問看護の利用者
・利用者を健康レベルで分類した場合、対象となるのは、予防的ケアを必要とする人、健康回復や健康的な生活の保持を目指すケアを必要とする人、リハビリテーションが必要な人、ターミナルケアを必要とする人。
・疾患別に分類した場合、主な対象者は、循環器の疾患、神経系の疾患、呼吸器系の疾患、骨関節の疾患、精神および行動の障害、悪性新生物、その他の慢性疾患を患うものである。




◎訪問看護を行えるもの
看護師・保健師・准看護師・理学療法士・作業療法士

◎事業所
1,法人であること。←都道府県知事の指定を受ける。
    (看護職員,常勤で2.5人以上)
2,保険医療機関であること。

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34.薬剤管理サービス

◆薬剤管理サービスの目的
・薬剤管理サービスの目的は「最小の薬剤使用で最大の効果を得ること」である。
・患者が指示された用法に従い薬を服用することをコンプライアンスという。

◆薬剤管理サービスの利用者
・要介護者等はさまざまな疾患を抱えている場合が多く、2つ以上の診療科や病院の薬剤を併用している割合が高い。

◆薬剤の体内での作用
・服用した薬剤を肝臓の働きによって排泄しやすい形に解毒することを薬物代謝と呼ぶが、肝臓の機能が低下していると、その速度が低下し薬効が強く出すぎる。

◆薬剤の主な副作用
・副作用を起こす薬としては、鎮静剤や睡眠剤、精神安定薬(マイナートランキライザー)などに注意が必要である。これらは眠気、ふらつき、注意力低下などを起こし、転倒の原因になる。

◆薬剤の指導・管理上の注意
・高齢者は薬効が強く出すぎる傾向があるため、成人用量の2分の1から3分の1の量で服用を始めるのがよい。
・薬剤を投与する際には、家族を含め要介護者等に十分な服薬指導をする。

◆薬剤管理サービスの方法
・薬剤管理指導の際にまず行うべきことは薬剤管理表を作ることである。
・要介護者等に薬剤を投与するとき確認すべき事柄は、添付文書による禁忌、慎重投与、相互作用、副作用などのデータである。

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33.口腔管理サービス②

◆口腔ケアの必要性
・歯を失う最大の原因はう蝕と歯周病(歯槽膿漏)である。その原因の多くはバクテリアであり、口腔内の清潔を心がけることが大切である。
・口腔ケアは、口腔内の歯垢を除去し、清潔を保つ方法をいい、口腔ケアをすることによりそしゃく機能を維持し、疾患を防止することができる。

◆口腔内のチェックポイント
口腔内の健康度をチェックするときは、義歯をはずしてう蝕、口腔の粘膜、歯ぐき、舌を細部まで観察する。義歯をつけていた部分の粘膜に白い斑点ができていたり、真っ赤になっている場合は、義歯性口内炎を発症している可能性がある。

◆口腔ケアの具体的方法
・口腔ケアの基本は、歯ブラシで行うブラッシング(歯みがき)で、歯垢を除去し歯の衛生を保つ。
・ フロッシング(歯間掃除)は、デンタルフロスを用いて歯間を清掃する方法で、歯垢の除去と歯肉のマッサージに効果がある。
・リンシングはすすぎやうがいをする方法で、薬用の口腔洗浄剤を用いると、バクテリアの殺菌に効果が高く口臭除去にも適している。

◆義歯の手入れ法
・入れ歯は、必ず1日1回は取りはずして歯ブラシで磨き、寝るときには洗浄液に入れて保存する。

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32.口腔管理サービス①

◆口腔管理サービスの目的
・80歳まで自分の歯20本の機能を保とうという運動を8020運動という。
・歯の機能の維持は、食事の際の負担の軽減や味覚、そしゃく、そしゃく筋の維持、脳への刺激や血液の循環にもよい影響を及ぼす。
・歯の健康の維持や口腔内の疾病予防は高齢者のQOLの向上にもつながり、豊かな老後の実現への可能性を広げる。

◆口腔管理サービスの利用者
・利用者は脳血管障害や神経疾患、認知症(痴呆)などを抱えている場合が多く、顔面や口腔内のまひ、嚥下障害、言語障害のような後遺症を発症する。
・摂食嚥下障害がある場合には、飲食物が肺に入って留まり、バクテリアなどが繁殖し誤嚥性肺炎などの病気を引き起こしてしまうため、口腔内を常に清潔にしておくことが大切である。
・パーキンソン病の患者は治療薬のL-ドーパの長期間服用のため遅発性オーラルディスキネジアを発症し、口腔ケアに困難が生じることが多い。

◆口腔の構造と機能
・口腔には、そしゃく機能、嚥下機能、発音の3つの機能がある。
・唾液には、口腔の創傷治癒、口腔の清掃、義歯の装着時の安定など口腔内の衛生や健康を保つために重要な役割を果たす。

◆高齢者の口腔の特徴と義歯の知識
・高齢者の歯は長年のそしゃく運動によって、エナメル質の磨耗から歯が咬耗し、歯垢がたまりやすい。
・義歯には、喪失した歯の両側の残っている歯に冠を被せて、それを土台にしてセメントで固定する「ブリッジ」、残っている歯にバネをかけて装着する「局部義歯(部分入れ歯)」、残った歯が少なかったり、すべての歯が失われたりした場合に、喪失した歯の歯槽堤(土手)にフィットさせる「総入れ歯」のほか、歯の欠損箇所に人工歯根を入れ込み、冠をかぶせる「インプラント」がある。

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31.居宅療養管理指導

◆居宅療養管理指導の目的
・要介護者等の多くは、日常生活に支障をきたす生活障害と、心身機能の障害である生物学的障害を抱えている。このような要介護者等の障害を医学的な視点で把握し、適切な指導・管理を行うことで要介護者等の生活障害の改善を図る。
・居宅療養指導管理は、要介護者等の疾病の再発予防や早期発見に大きな役割を果たすことができる。

◆居宅療養管理指導と介護支援サービス
・要介護者等本人や家族などの介護者は居宅療養管理指導の提供者に対し、その気持ちを伝えづらいときもあるため、場合によって介護支援専門員は彼らの代弁者となり、彼らの意思を伝えることも必要である。

◆居宅療養管理指導の利用者
・病状が不安定で悪化・再発・合併症を起しやすい人。
・治療またはリハビリテーションを必要とする疾病をもっている人。
・生命維持のために器具・装置を必要とする人。
・一時的な疾病を発病しやすい人。また、入所・入院の判断を必要とする人。
・ターミナルケアが必要な人。

◆医師による居宅療養管理指導の方法
・医師による居宅療養管理指導では、定期的に要介護者等宅を訪問して問診・診察などを行い、家族など介護者に介護の状況をたずねる。

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30.歩ける人のリハビリテーション

◆歩ける人のリハビリテーション
・歩ける人は環境を整備すればADLの自立はおおむね可能。

◆片まひのある人の基本動作と介助の要点
・歩行介助の際は、患側のやや後方から介助する。転倒防止には適切な介助のほか、杖などの歩行補助具の利用、手すりの設置、障害物の除去に努める。
・患側下肢への体重負荷訓練やアキレス腱のストレッチを中心に訓練する。
・屋外を歩行できるレベルでは全身機能や体力維持の運動が中心。
・一人で歩ける人は、屋外で歩行してみる。ただし、屋外にはさまざまな障害物があるので、慣れるまで介護者に介助してもらう。

◆移動動作訓練
・片まひなどがある場合、和式の生活も安全に行えるよう、床上移動動作の訓練を行うことが望ましい。

◆環境整備
・家の中の段差は解消し、部屋の出入り口や階段、廊下などには、できる限り手すりを設置する。
・玄関には靴の着脱用のいすを置いたり、階段式の台を設置する。
・脱衣所から浴室へは横方向の手すりを設置。高さは大転子よりやや高め。
・脱衣所と浴室との間の段差にはすのこを敷き、大転子から肩まで程度の長さの縦方向の手すりを設置する。

◆手段的日常生活動作の訓練
・調理動作に障害がある場合は、用具や調理過程をくふうする。
・スライサーなどの器具、自助具も活用する。長時間の立位保持や移動が困難な場合は、移動範囲を少なくするよう環境を整備する。
・洗濯物の物干しは安全で低い場所に設置する。

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29.歩けない人のリハビリテーション

◆関節可動域訓練・筋力増強訓練
・関節可動域訓練および筋力増強訓練は、自動運動を中心に日常生活の中で習慣化するよう努力する。

◆移乗・移動動作訓練
・乗り移ろうとするものに対して、まひや障害のない健側をつけることが原則。また、より安定性を維持するため、手すりなどを設置する。

◆環境整備
・ベッドは深く腰かけても足底が床に付く高さ。マットレスは硬め。
・車いす直進のためには通路幅75cm、方向転換には90cm以上、360度方向転換には直径150cm以上のスペースが必要。
・段差が2cm以上あると車いすは通れない。段差が大きい場合はウェッジ(ミニスロープ)などを設置する。
・ドアは引き戸とし、ノブはレバーハンドルまたは棒ハンドルを床から85~90cmの高さに取りつける。
・車いすで使用する場合、洗面台や食堂テーブルの高さを約80cmにするか、車いすのアームレストをデスクタイプにする。
・トイレを洋式にし、縦横に手すりを取りつける。和式トイレなどには腰かけ便座を取りつける。
・車いす使用者のためには浴室と脱衣所との段差を解消し、出入り口の幅やドアの種類、ドアノブのくふうなどをする。

◆日常生活動作の訓練
・上着の着脱の基本は着患脱健。着衣時は「患側のそで通し→健側のそで通し」の順に行い、脱衣時はその逆。
・靴下の着脱はベッド上であぐらを組む形で行うと容易。
・衣類の開閉は、ボタンの代わりにマジックテープなどを使うとスムーズにいく。
・手の握りや関節の動きに制限のある場合は、整容にも自助具を利用するとよい。

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28.寝たきりの状態にある人のリハビリテーション

◆寝たきりの状態にある人のリハビリテーション
・寝たきり状態をそのままにしておくと廃用症候群が生じる。
・関節可動域や筋力の維持、座位生活を目的として、リハビリテーションを行う。

◆関節可動域訓練
・患者の痛みへの反応をみながら、徐々に動かせる範囲を広げる。
・なるべく本人が動かす自動的訓練が原則。意識レベルが低い場合、自分で運動できない場合は、介護者が動かす他動的訓練で、ゆっくりと繰り返し、毎日行う。
・拘縮など廃用症候群の予防のために、良肢位の保持や、体位変換も心がける。

◆筋力増強訓練
・残存するすべての筋肉を、可能なかぎり維持するように努める。
・基本動作や日常生活動作を通じて、できる限り自分の力を発揮するよう努める。
・寝たきりの場合、自動介助運動を行う。

◆座位生活の訓練
・ギャッチベッドや車椅子を活用し、座位生活を保持することは、体幹や頸部の筋力維持に有効である。
・食事の時間などに、疲労度やバイタルサインをみながら、座位保持の頻度、および時間を調整するとよい。
・ギャッチベッドの挙上角度は30度から開始し、毎日10~15度刻みで段階的に角度を上げていく。
・長期臥床後の起立性低血圧への配慮などのリスク管理を行う。

◆日常生活動作の訓練
・食事動作の障害は、その程度や種類に合わせて自助具を使ったり食べやすいように必要に応じてくふうする。

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27.リハビリテーション

◆リハビリテーションとは
・「障害があっても人間らしく生きること」を支えるすべての専門的技術であり、その最終的な目標は、社会的自立をし、「全人的復権」を得ることにある。

◆リハビリテーションの注意点
・リハビリテーションの前には、疾病や障害の確認、バイタルサイン、睡眠パターン、疲労感、疼痛、転倒の可能性などをチェックする。
・高血圧症は、運動中に拡張期血圧が120mmHgを超えたらすぐに運動を中止する。心疾患は安静時の脈拍数が100を超えたり、拡張期血圧が110mmHg以上になったら運動不可。めまいや頭痛などの自覚症状が現れた場合も運動中止。
・糖尿病や肝・腎・肺機能障害は最初は運動量を少なめにし、徐々に運動量を増やす。リウマチ、骨粗鬆症、変形性関節症などでは、関節の痛みや転倒予防に配慮が必要。

◆リハビリテーションの障害となる問題
・リハビリテーションを行ううえで障害となるものには、知的低下、精神面の障害、失行、失認、言語障害、嚥下障害、感覚の障害不随意運動、痛み、しびれなどがある。

◆代表的なリハビリテーション
・治療的アプローチからなされる訓練の最終的な目標は日常生活動作が自立してできるようになることである。
・代表的なリハビリテーションとしては関節可動域訓練、筋力増強訓練、起居動作訓練(座位訓練)、移乗・移動動作訓練がある。

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26.在宅医療管理

◆在宅酸素療法(HOT)
・高度慢性呼吸不全、肺高血圧症などの患者のQOLの向上に役立つ。
・定期的な器具の洗浄・消毒・交換・点検が必要である。
・酸素用高圧ガスボンベなどは転倒や火気に十分な注意が必要。

◆気管内挿管
・長期になる場合は、経鼻で行うと咽喉部粘膜への刺激が少ない。

◆在宅自己腹膜灌流(腹膜透析)
・在宅で行う際は、十分な指導を受けることが必要。

◆在宅自己注射
・高齢者に多いのは糖尿病によるインスリン製剤の自己注射。

◆在宅悪性腫瘍疼痛管理療法
・鎮痛剤を筋肉注射、または携帯型のディスポーザブル注入ポンプ、輸液ポンプなどを用いて静脈内に注入する。

◆在宅中心静脈栄養療法
・水分、電解質、等質、たんぱく質、資質、ビタミンを含む高カロリー液を輸液。

◆在宅経管栄養法
・経口で栄養が摂取できない患者の栄養供給法。一般的には経鼻で胃チューブを挿入する。

◆導尿
導尿は無菌操作で行う。器具・陰部の洗浄と消毒は十分に行う。

◆ペースメーカー
心臓に撮りつけた電極で刺激を与えて心室の収縮を促す。

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25.ターミナルケア

◇ターミナルケアにおけるチームアプローチ
・ターミナルケアのチームの構成員は分野の異なる専門家による学際的なチームである。

◇チームアプローチの方法
・チームアプローチを行う際には、スタッフ全員が共通の理解をもち、それぞれの役割を分担し、責任を明確にしていく必要がある。

◇在宅でのターミナルケア
・患者と家族は一つの単位としてとらえる。
・まず必要なのは患者自身の「家で死にたい。」という意思であり、家族の「家で看取りたい。」という目的意識である。
・ターミナルケアには医療者の存在が不可欠である。
・在宅では飲酒・喫煙を認めたり、時間の制約を受けずに慣れ親しんだ環境のなかでケアができる。痛みのコントロールが中心的課題である。
・在宅でのターミナルケアにおいては、家族に対してターミナル期のケアの方法についての指導を行うほか、患者、家族を対象とした「死の教育」を行う。

◇死亡診断
・死亡診断書は医師が作成して交付する。患者の死亡時に医師が立ち会っていない場合は、死後あらためて診察を行うが、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合であれば診察しなくても死亡診断書を交付できる。診療中でない患者が死亡した場合は死体を検案し、したい検案書を発行する。
・死体に法医学的な異状がある場合は、医師は24時間以内に所轄の警察署に届け出ることが義務付けられている。

◇精神面からみたターミナルケア
・「霊的な痛み」とは、「死」という自己の存在にとって最大の危機にさらされた人間が感じる、存在の痛みである。

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24.痴呆性高齢者の介護

◇痴呆性高齢者の介護のポイント
1.高齢者のありのままを受け入れる。
2.言動を受け入れ、理解する姿勢。
3.自尊心を傷つけない。
4.高齢者のテンポに合わせる。
5.柔軟性のある態度、温かみのある言葉づかい。
6.わかりやすく、具体的な話し方をする。

◇介護家族の問題と高齢者虐待
・高齢者虐待で発生件数の多いもの
1.介護拒否・放任
2.情緒的・心理的暴力
3.身体的暴力
4.金銭的・物質的搾取
5.性的暴力   など。
・被害者は女性、75歳以上、ADLに障害のある人が多い。

◇介護家族への援助と介護支援サービス
・家族には、家族の普遍性と連続性を維持しようとする消極的な面と、新しい経験を受容し変化に適応しようとする積極的な面と2つの側面がある。両面の調和を図りつつ援助することが重要である。

◇痴呆性高齢者に対する介護プログラム
・介護支援専門員は、痴呆性高齢者の知的レベルや能力を改善するさまざまなプログラムを積極的に取り入れ、介護サービス計画に生かす必要がある。
・プログラムの内容は、脳のリハビリテーション、生活リハビリテーション、回想法、リアリティ・オリエンテーション、音楽療法、家族会の活動などである。

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23.精神障害のある高齢者の介護

◇基本姿勢
・差別や偏見、先入観を排して現在の困難や不自由を軽減し、安心感を与えるような援助を心がける。

◇老齢期精神分裂病の場合
・本人の内的世界を理解し、信頼関係の構築が必要。

◇老年期気分障害(老年期そううつ病)の場合
・そう状態では、十分に睡眠がとれるようくふうし、過度の反応や訴えようとしていることの内容を理解するように努める。問題行動が大きくなった場合には主治医と相談のうえ、入院も考える。
・うつ状態では自殺企図に注意する。特に、病気の初期と回復期に多い。本人の訴えは、毎回同じ内容でも親身になって聞く。安易な励ましは逆効果となる。

◇アルコール依存症の場合
・断酒会などへの継続参加をすすめ、他の人が飲んでいる場面を避けたり、飲まない環境を整備する。
・アルコール依存症が長期に渡っている場合は、肝臓・心臓疾患、糖尿病、脳血管疾患などの併発も多いので、それらの適切な治療をすすめるのも重要。

◇老年期神経症(ノイローゼ)の場合
・本人の不安や苦悩が少しでも軽減するよう、身体症状の訴え、些細な事柄に対するこだわりなどには本人が納得するまで付き合う。
・生活の場を整備し、散歩や趣味などの環境づくりをする。

◇知的障害の場合
・本人の人格を尊重し、力ではなく言葉や表情、ふれあいによるコミュニケーションで理解しあう努力をする。

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22.清潔のための介護

◇清潔保持の意義
・高齢者の清潔保持の問題点には、疾患や障害、加齢による皮膚のトラブルがある。
・清潔保持の意義は、生理的・心理的・社会的な充足である。

◇清潔保持の方法と入浴介護の注意点
・清潔保持の方法には、入浴、シャワー浴、清拭がある。

◇入浴の介護
・埋め込み式、様式の浴槽にすると、下肢に運動障害があってもまたぎやすい。深い浴槽の場合は浴槽に板(バスボード)を渡す、浴槽の底に踏み台を取りつける、入浴台、手すりを使用するなどの工夫をする。
・脱衣時には介助しながら皮膚の変化をよく観察する。

◇清拭の介護
・汚れやすい陰部、足などは、汚れたらそのつどこまめに清拭する。
・皮脂を除去しすぎない清拭剤を使用する。アルコールは不適。
・汚れに気付きにくい部分(皮膚のひだの中、まひなどで曲がった四肢や関節など)はていねいにふく。
・清拭後は乳液などをつけ、皮膚のうるおいを保つ。

◇口腔の清潔
・取り外しのできる義歯をつけている場合は、取りはずして磨く。自力で歯磨きできない場合は歯ブラシ、綿棒などで介助。

◇毛髪の手入れ
・起床時には毎日ブラッシングする。

◇寝衣・寝具の清潔保持
・寝衣は着脱のしやすいものにし、常に清潔を保持する。

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21.睡眠の介護

高齢者の不眠
・睡眠のリズムには個人差があるが、特に高齢になると不眠を訴えることが多くなる。夜間や早朝に覚醒し入眠するまでの時間が長く、いわゆる寝つきが悪くなる。

◇睡眠状況の調査
・高齢者が不眠を訴える場合は、まず、本人の訴えをよく聞き、家族の意見を交えて睡眠状況を調査する。
・不眠の背景として、日中の生活について、就寝前の状況、入眠・睡眠状態について、不眠の原因となる症状や疾患の有無、精神状況、就眠環境、薬物の服用状況などを把握し、安眠の障害となるものを除去し、対策を考える。

◇睡眠介護の方法
・不眠の改善や安眠のためには、日中の十分な活動が有効。
・寝たきりでも日中はできるかぎり離床をすすめる。障害があってもできることを探し、日中の活動を行う。
・入浴は適度な疲労感を与え、睡眠に入りやすくなる効果がある。
・入浴できない時は、足浴、半身浴を行う。
・テレビや読書など、刺激になるものは避ける。
・コーヒーなど神経を興奮させる飲料は避ける。
・室温を調整し、騒音を排除する。
・睡眠薬の副作用による虚脱、歩行障害、ふらつき、転倒・骨折に十分な観察と注意が必要。睡眠薬の乱用により、逆に不眠になることもある。

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20.褥瘡の介護

◇褥瘡のできやすい人
・自分で寝返りがうてない、自分で動こうとしない、失禁がある、ターミナル期にある、やせている、などの人が褥瘡ができやすい。

◇褥瘡の予防介護の方法
・原則2時間後との体位変換。予防用具も併用。
・入浴は皮膚の清潔と血液の循環を促進し褥瘡予防に有効。
・入浴・清拭後に、パウダーやローションを併用して、圧迫されやすい背部・臀部のマッサージを行う。ただし褥瘡初期の発赤がある場合は発赤部のマッサージは避ける。
・寝衣や寝具は汚れたらそのつど清潔なものに交換。
・オムツは汚れたらそのつど交換、陰部や腰は温湯で清拭。
・オムツカバーは通気性のよいものを選び、もれ防止のゴム布、ビニール類には吸湿性のよいシーツを併用。
・寝衣やシーツには肌ざわりのよい材質を選び、糊をつけすぎないか、つけないようにする。交換時は皮膚への摩擦に注意し、しわをつくらない。
・食事は高たんぱく、高カロリー、高ビタミン食とし、栄養補給に努める。
・予防用具では用途別に全身用、局所用があり、エアーマット、ウレタンフォーム、羊毛皮(ムートン)など多種。
・予防用具の使用は体圧の分散、摩擦の軽減、通気性の確保が目的である。

◇褥瘡がある場合
・初期の褥瘡は患部周辺を温湿布やマッサージなどによって血液循環を促し、圧迫や摩擦を避ける。
・進行した褥瘡部は1日1回消毒。治療は医師と相談。
・十分な栄養を補給する。

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19.排泄・失禁の介護

◇排泄・失禁介護の方針
・排泄の介護では、1.排泄障害の予防・早期発見、2.排泄障害の増悪・拡大の防止、3.排泄障害の改善と自立、4.二次的障害の防止、5.排泄障害による生活上の影響の除去という視点を持つ。
・長期のオムツ着用は、尿意の後退をもたらしやすい。

◇尿失禁の介護における問題点の把握
・1時間ごとの排尿の有無、尿意、排尿の感覚、尿量など、高齢者の状態について、排尿チェック表を作成して把握する。
・トイレまでの移動、ベッドサイドまたはポータブルトイレへの移動、下着の着脱など排尿動作についてもチェックする。

◇尿意の把握
・尿意を察知することにより排尿誘導ができる。
・尿意のサインは言葉とは限らず、注意深い観察が重要。
・トイレを探す様子、表情やしぐさなど、高齢者の行動から尿意を察知する。

◇排尿誘導
・トイレへの誘導の際は命令口調は避ける。
・尿意がはっきりしない場合は、昼間に集中的に排尿誘導を行う。排尿感覚を把握し排尿時間に合わせて排尿誘導を試みる。
・寝たきりの場合は離床をすすめることからはじめる
・排尿誘導は失禁が始まってからの期間が短いほど成功する可能性が高い。

◇用具・環境整備
・排尿を自立させるためには、できるかぎりトイレでの排尿が望ましい。
・排尿が間に合わず失禁してしまう人には、トイレの近くを居室にしたり、ベッドサイドでポータブルトイレをすぐに使用できるようにする。

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18.食事の考え方・食事の介護

◇食事介護の方針
・食事の介護では、1.可能な限り自分で、2.口から、3.心理的、社会的、文化的欲求が満たされるように援助する。

◇食事の介護における問題点の把握
・高齢者は食欲、摂食、そしゃく、嚥下、消化吸収、排泄の各過程で、食事摂取の支障となる条件を抱えている。
・食欲不振、摂食動作の不自由、歯・口腔の問題、そしゃく・嚥下機能の障害、介護不足など食事困難の原因をチェックする。

◇食欲不振の場合
・献立、調理方法、食事の出し方、食事の際の姿勢、環境などにくふうが必要。抑うつ状態など精神的問題がある場合はむやみに励まさず、好物を出し、温かく見守る。

◇摂食自立が困難な場合
・片まひの場合は、利き手の変換や食器のくふうなどを行う。
・視覚障害のある場合は、食事前に献立や食器の配列を説明する。

◇歯・口腔に問題がある場合
・歯の治療、適合した義歯の装着、口腔内の清潔保持が必要。
・やわらかい食品、材料を小さく切る、やわらかく調理、食物をほぐす、材料をミキサーにかけるといったくふうをする。

◇嚥下障害がある場合。
・栄養士と相談して飲み込みやすい食品や調理をくふうする。

◇便秘・下痢の場合
・便秘は十分な食事量と、繊維質食品や調理をくふうする。
・下痢は消化吸収の良い食事と水分補給に注意。脂肪は制限。

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17.高齢者の健康増進

◇健康増進と生活習慣病の予防
・悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患(脳卒中)という3つの生活習慣病による死亡は死亡総数の約60%。
・食習慣が関係する生活習慣病→インスリン非依存型糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、歯周病など。
・喫煙が関係する生活習慣病→肺扁平上皮がん、循環器病、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病など。
・飲酒が関係する生活習慣病→アルコール性肝疾患。
・一次予防とは健康的な生活習慣による疾病予防をいう。
・二次予防とは疾病の早期発見と早期治療をいう。

◇健康日本21
・厚生労働省は、これまでの健康づくり対策の成果を踏まえ、これらの改善・強化を図り、健康日本21という新しい10か年計画をスタートさせた。
・その基本理念は、
1.全ての国民が健康で明るく元気に生活できる社会の実現を図る。
2.壮年期死亡を減少させる。
3.健康寿命をのばす。
4.社会のさまざまな健康関連グループがその機能を活かし、
  一人ひとりが自己の選択に基づき主体的に健康実現を図ることができるよう支援する。
5.国民の健康づくりを総合的に推進する。
というものである。
・第一次国民健康づくり対策では栄養に重点を、第二次国民健康づくり対策では運動に重点をおいてきた。
・健康日本21では、健康を増進し発病を予防する「一次予防」に一層の重点をおき、生活習慣病と健康に関連のある分野ごとに、2010年までの具体的な数値目標を定めている。

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16.高齢者の栄養と食生活

◇食生活の重要性
・高齢者にとっての食生活には、栄養を取ることと、生きる喜びを感じると言う2つの側面がある。

◇食事作りのプロセスへのかかわり
・食事づくりのプロセスはさまざまな行動から成り立つため、身体に不自由があってもかかわるチャンスがある。

◇栄養と食生活の課題分析
・課題分析では、「課題分析→計画→実施→評価」というプロセスを繰り返し進める。食行動のチェックリストをつくり、情報収集・分析にあてる。

◇栄養教育
・栄養教育の主なものとして、エネルギーや栄養素の選択方法を教育する栄養素選択型栄養教育、食材の選択方法を教育する食材料選択型栄養教育、料理の選択方法を教育する料理選択型栄養教育がある。

◇食生活指針
・「食生活指針」
 1.食事を楽しみましょう。
 2.1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
 3.主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
 4.ご飯などの穀類をしっかりと。
 5.野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
 6.食塩や脂肪は控えめに。
 7.適性体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
 8.食文化や地域の産物を活かし、時には新しい料理も。
 9.調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
 10.自分の食生活を見直してみましょう。
・高齢者のための食生活指針
 1.低栄養に気をつけよう。
 2.調理の工夫で多様な食生活を。
 3.副食から食べよう。
 4.食生活をリズムに乗せよう。
 5.よく体を動かそう。
 6.食生活の知恵を身につけよう。
 7.おいしく、楽しく、食事をとろう。

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15.急変時の対応

◇高齢者の急性疾患の特徴と留意点
・急性疾患では多臓器の障害を合併することが少なくない。そのため、症状に多元性・多様性があり非典型的な症状が現れることが多い。薬剤の副作用として急性疾患が発症することもある。

◇意識障害への対応
・意識障害の急変時には、意識レベルの評価が必要。意識障害がある場合は、バイタルサインの観察・測定が必要。

◇心停止への対応
・30~60秒の心停止で瞳孔が散大し、3分以上で脳への重大な障害が起こる。
・心肺蘇生法のABCは、気道確保(Airway)→人工呼吸(Breathing)→体外心マッサージ(Circulation)の順。

◇てんかん発作への対応
・てんかん発作の対応での要点は、1.あわてない 2.二次的な外傷を防ぐ 3.発作の様子を観察する 4.医療機関に連絡をとる である。
二次的な外傷を防ぐ…意識喪失により転倒するおそれがあるので、周囲の危険物を除いたり、安全な場所に寝かせるなどして、外傷を防ぐ

◇嘔吐への対応
・嘔吐は主として上部消化器係疾患により起こる。脱水や電解質代謝異常を起こすことがあるので、様子が落ち着いたら水分を補給する。何度も繰り返したり激しい嘔吐があれば医療機関への受診が必要。

◇失神への対応
・顔面蒼白、麻痺などの異常所見が見られたら、まず仰臥位にする。

◇入浴中の事故への対応
・異常を発見したら、ただちに浴槽から救出し、心肺蘇生術を行う。

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14.合併症、医師との連携

◇循環器系の合併症
・心停止、虚血性心疾患、心不全、ショック、不整脈、下肢動脈閉塞など。

◇呼吸器系の合併症
・窒息、肺炎、肺結核、肺梗塞、気管支喘息の発作など。

◇骨・筋肉・関節系の合併症
・痛みは骨・関節系の疾患ではなく内臓疾患が原因の場合もある。

◇内分泌系・代謝系の合併症
・高血糖時の昏睡(糖尿病性昏睡)、低血糖発作、脱水、電解質代謝異常、体重増加(肥満)、るいそう(痩せすぎ)など。

◇消化器系の合併症
・吐血、下血、イレウス(腸閉塞)、急性腹症、肝機能障害など。

◇精神・神経系の合併症
・抑うつ、せん妄、痴呆(認知症)、てんかん発作、脳卒中発作、意識障害、慢性硬膜下血腫など。
・脳卒中の後遺症のてんかん発作は、通常数分以内におさまる。抗てんかん薬は副作用に注意。

◇視聴覚系の合併症
・白内障、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜剥離などによる視力障害、中耳炎、耳垢栓塞、突発性難聴などによる聴力障害など。

◇泌尿器系の合併症
・神経因性膀胱、尿路感染症、尿路結石、前立腺肥大、腎不全など。

◇その他の合併症
・貧血、皮膚疾患、(老人性掻痒症、白癬菌感染症(水虫など)、疥癬、薬疹など)。

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13.現状の医学的問題

◇疾患のとらえ方
・障害を直接もたらす原因となったもの(原疾患)と、それ以外にあわせもっている疾患(併存疾患)とに分けて考える。

◇原疾患と併存疾患
・非進行性の疾患・・・一度起こっても再発しないかぎり疾患自体は安定して進行しないもの。脳血管障害(脳卒中)など。予防に重点を置いた介護サービスの提供が必要。
・進行性疾患・・・徐々に症状が進行するもの。神経系の難病など。症状に即応する介護サービスが必要。
・変動性の疾患・・・日内変動や服薬による症状の変動があるもの。慢性関節リュウマチ、パーキンソン病など。薬効のある間のリハビリテーションが効果的。
・併存疾患のうち、生命予後に危険が考えられるもの・・・適切かつ迅速な医療措置が最優先される。
・原疾患の危険因子となるもの・・・継続的な医学管理が必要。
・機能的制約や運動負荷の制約をもたらすもの・・・症状に応じ医学的チェックが必要。

◇運動制限のある疾患
・循環器疾患・・・症状が不安定な場合は安静と医学的な管理が優先される。主治医の指示を受けて、可能な限りの運動を行う。
・糖尿病・・・血糖値が高すぎたり、進行性の網膜症などの合併症がある場合は、運動してはいけない。糖尿病薬を服用している場合、運動が過度になると低血糖発作を起こすことがあるので注意が必要。
・腎疾患・・・急性・慢性ともに腎不全が増悪期にあるときは安静にしなければならない。
・肝疾患・・・自覚症状がなくなり、GOT、GPT値が改善したら、食後1~2時間の安静後、徐々に運動量を増やしていく。
・骨関節疾患・・・痛みや炎症を増悪させないようにする。

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